無謀な半年間でした。
僕は結婚していて、妻を扶養に入れながら、派遣のアルバイトだけで家族を養っていた時期があります。
なぜそんな道を選んだのかというと、
前回書いたように、それまで工場に勤務しながらミュージシャンを夢見ていました。
しかしそこで心がうつ状態になってしまい
これ以上無理だと思った時に、
それならもう本当に音楽中心の生活にするために、
もう工場みたいに決まった日数勤務する形式を止めようと思ったんです。
それで派遣のアルバイトなら1日単位で仕事を頼めるので、
とりあえず僕は派遣会社に１０社くらい登録してやりました。
するとほとんど毎日仕事が選べる状態になったのです。
これで音楽の仕事がない日にはいつでも自分の意思で仕事を選んでやれる
そういう環境を作ってみたのです。
実際に「自分で仕事を選んでいる」という感覚はすごく快感でした。
まぁ実際にはその日ある仕事の中からしか選べないので、
もちろんつまらない仕事が多かったのですが、
例えばどうしても気が乗らなければ「行かない」でもいい
その選択権が自分にあるということ
当時の僕にとってはそれが凄まじい快感になったのでした。
そして月に何回仕事をして、月々いくら家にお金を入れて、
そういった計算をするのは、
決まった額を毎月もらえる工場時代にはない感覚で、
笑えますが、なんだか自営業を営んでいる感覚でした。
しかし現実はそんなに甘くはありませんでした。
実際に家族を養いながら、派遣のアルバイトをすることは並大抵のことではありませんでした。
というのもやはり給料が安いんです。
そのぶん実際には工場時代よりもたくさん働かなければいけなくなりました。
この頃経験した派遣の職種は多岐にわたり、
イベント設営
イベント案内
倉庫作業
荷下ろし
展示会設営
荷上げ
事務所移転
引っ越し
居酒屋
ファーストフード
ファミレス
などなど、、、
本当に１００箇所以上の多岐にわたる現場に派遣されていました。
しかし、そんな中でも音楽制作などの時間をなるべく作るようにして、
心の回復とともに、音楽活動での起死回生を狙っていました。
僕の心の中にあった大きな思いは、
「この労働地獄から必ず抜け出して音楽で成功してやる」という熱い気持ちでした。